そこへ清冽なハイトーン・スキャットで舞い降りる佐井好子。
幻想の音絵巻『胎児の夢』をはじめ、その楽曲は世界中で600万回以上再生されている。
楽曲は一作を除きすべて自身で作詞・作曲しており、他アーティストへの提供曲としては、故・松田優作の依頼により書き下ろされた「ひとよ酒」「居酒屋」の2曲が知られている。
さらに、絵画作品も国際的に高い評価を受けており、Liana Floresが「最も好きなアートワーク」として彼女の作品を挙げている。
Spotifyで8億回近い視聴者を持つLianaは、自身のプレイリストに青葉市子と並んで佐井好子を載せている。青葉市子はまず欧州で脚光を浴びた。同志社大学在学中から音楽活動を始め、わずか4年で表舞台から姿を消し、30年間沈黙した佐井好子のファンクラブは日本ではなくヨーロッパにある。ある意味、佐井好子はその先駆者であった。
忽然と音楽界を離れ、インド、パキスタン、シルクロードへと旅立ったこの孤高の天才を再発見し、表舞台へと呼び戻したのは、異領域の音楽家・JOJO広重である。そして佐井好子は、東京以上にLA、イスタンブール、サンチャゴ、NYに多くのリスナーを持つ「永遠の歌巫女」となった。
本書は、そんな彼女の絵画(カラー16ページ)、自由詩、小説、全歌詞、絶版となった『青いガラス玉』の復刻、ディスコグラフィー、音源公式リンクを網羅。
彼女の詩と絵の魅力を一冊にまとめ上げた貴重な書籍であり、今後の日本音楽史における重要なエポックとなる。
――JOJO広重(本書・解説)
デビューから半世紀を経てもなお世界を静かに揺さぶり続ける芸術家・佐井好子の軌跡を、ここに刻む。





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