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2013年5月31日金曜日
音楽 : Michael Mantler- The Hapless Child
Michael Mantler (Feat. Robert Wyatt) / The Hapless Child
LP : USA / 76 / WATT / 4
大人のための絵本作家として知られる世界的なカルト作家のエドワード・ゴーリーの怪奇な散文詩にマイケル・マントラー(Michael Mantler)が作曲と監修担当した76年の名盤です(モノクロのペンによる不思議なジャケットのイラストもエドワード・ゴーリー)。
オーストリア出身の前衛ジャズ・トランペッターで作曲家のマイケル・マントラーは60年代初頭に渡米、才女カーラ・ブレイと結婚して米国フリー・ジャズの重要バンドであるジャズ・コンポーザーズ・オーケストラなどで活躍していました。
マイケル・マントラーは有名な妻のカーラ・ブレイの陰に隠れがちですが、本作でも前面ヴォーカルを勤めているロバート・ワイアットを始めとするカンタベリー方面や、ジャック・ブルース、クリス・スペッディング、ニック・メイソンといったロック畑のアーティスト達との競演を重ねている異才です。
前置きが長くなりましたが、本作ではマイケル・マントラーは作曲と監修に専念し、ヴォーカルにソフト・マシーンのロバート・ワイアット、キーボードにカーラ・ブレイ、ベースにスティーブ・スワロウ、ドラムにジャック・ディジョネット、そしてノルウェー出身の変態ギタリスト、テリエ・リプダル(Terje Rypdal)といった豪華なメンバーが参加したアルバムです。
硬派なジャズ・ミュージシャンによる演奏作品ですが、冒頭のA-1「The Sinking Spell」に針を落とした瞬間に唸りをあげるヘヴィーなリズムとハードに鳴り響くテリエ・リプダルのギターにつまらない思い込みは払拭されます。
当店でのジャンル分の都合で「プログレッシブ」に分類しますが、プログレ色やジャズらしい雰囲気は殆ど無く、ましてやロバート・ワイアット参加からよく言われるような「カンタベリー風ジャズ・ロック」でもありません。
英詩を理解できないのが残念なのですが、怪奇な詞をロバート・ワイアットがいつものように語り掛けるような歌唱ではなく(おそらくは詩の内容に沿うように)読経の如く激しく歌い上げ、挑戦的な変拍子のアンサンブルで後期クリムゾンにも匹敵する硬質なヘヴィネスに満ちています。
ロバート・ワイアットの歌唱だけではなく、フリーから音響系までこなし、呆れるほど作品の多いテリエ・リプダルのギターは激しく、カーラ・ブレイもシンセサイザーを多用と、普段の自分たちのプレイ・スタイルを捨てた演奏には、鬼気迫る迫力があります。
ほとんどジャズとカンタベリー方面でしか話題にならないのは、ほんとうに勿体無いです。
ジャケットのミステリアスなイメージと、アグレッシヴでスリリングな演奏が見事にマッチしたトータル・アルバムの大傑作です。
【クレジット】
Michael Mantler ; Music, Engineers
Robert Wyatt ; Vocals
Carla Bley ; Synthesizer, Piano, Keyboards, Vocals, Clavinet
Jack DeJohnette - Percussion, Drums
Terje Rypdal ; Guitar
Steve Swallow ; Bass
Alfreda Benge ; Speaker
Albert Caulder ; Additional Speakers
Nick Mason ; Additional Speakers
Edward Gorley ; Words
【収録曲】
A-1. The Sinking Spell 5:12
A-2. The Object Lesson 4:58
A-3. The Insect God 5:00
B-1. The Doubtful Guest 4:45
B-2. The Remembered Visit 6:25
B-3. The Hapless Child 6:59
(引用)
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